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「もう、来なくていいのだが」 「少なくともあと一回は来ますよ。お気持ちは分からなくはないのですが、それは、この次、私のいない世界を引き当てるしかないですね」  要は、人生が夢となってしまうのは不可抗力で、あとはせいぜいガチャか福引のような方法でしか回避できないということか。    ハルミがいずれオレの元を去り、ひいてはオレの積み上げてきたはずの人生も、所詮いつか終わる夢なのか。 「それでは、そろそろ行きますね。また来ますので、よろしくお願いします!」  ほんと空気読めないやつだ。オレは、目を剥いた。 「もう帰ってこなくていいよ」 「つれないですね。そんな言い方しないでくださいよー」 「ったりまえだろ」つれないとか、そういう問題ではない。  つまり、そこはどうしても変えられないのだ。  オレはため息ひとつついた。 「そうだな、せめて彗星のように現れるつもりなら、なるべく遠回りしてきてくれよな」 「ま、考えときます!」  そう言うなり、男は部屋を飛び出していった。
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