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アラームが鳴った。
切ると、すぐそばで甲高い若い男の声がした。
「おはようございます!」
気圧されて何も言えなかったが、
「ご気分は、いかがですか?!」
と畳み掛けられて、苛立ちが先立ったのか、ようやく口が動く。
「誰だ、お前!? うるさいよ!」
そう、俺はこのスーツ姿で枕元に正座する坊主刈り男が誰か分からないし、寝起きのアニメ声が耳障りだったのだ。
「私ですか?」
お前以外に誰がいるんだ?
そう訊きたかったが、
「よくぞ聞いてくれました。それなら話が早い♪」
その芝居がかった言い方が、また鼻につく。
「実は、ですね……」
そこまで言って、黙っている。
俺はしばらくそれに付き合っていたが、どうやら次のページに行くまで、何も話す気はないようだった。
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