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「そう……いつか、こうなる時がくるとは思っていたけど……」
マナがつぶやいた。
「うん、私もね、いつかはこんなこと、言われるんじゃないかな、って思っていたんだ……」
メグミもつぶやいた。
私は、マナとメグミの顔をしっかりと見据えてこう言った。
「そういうことだから……マナ、メグミ。今まで、ありがとう……」
二人は寂しそうな顔をしていたが、私は笑顔で別れたいと思った。
二人に向かってにっこりと微笑んでみる。
すると、マナもメグミも、私に向かって優しい笑顔を浮かべてくれた。
私は最後の言葉を告げた。
「さようなら、マナ……さようなら、メグミ……」
私がそう言うと、マナとメグミの姿はだんだんと見えなくなっていった。
消えていくマナとメグミの表情は、最後まで優しい笑顔のままだった。
こうして、私の前からマナとメグミは消えた。
私は、マナやメグミとの出会いを思い出していた。
私の怠け心をそれでいいんだよと認めてくれる優しい姉が欲しかった。
だから、私は心の中に「マナ」を作り出した。
と同時に、私の怠け心をビシビシと指摘して発破をかけてくれるような生意気な妹も欲しかった。
だから、私は心の中に「メグミ」を作り出した。
私は一人っ子として、いつも寂しく過ごしていた。
兄弟がいる友達が、とてもうらやましかった。
私はいつしか、心の中に姉と妹を作り出し、共に過ごしてきたのだった。
私の名前は愛。
私が作り出した姉の名前は愛。
私が作り出した妹の名前は愛。
二人を消し、私は一人の愛になった。
I am I.
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