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悲劇は突然やってきた
七月下旬。場所は関東地方南部の海岸。
紺色の海は遠くまで広がり、青空にはもくもくとした雲が沸き立ち、さらに上からは、太陽の熱くまぶしい光が、下界に向かって降り注いでいる。
海水浴を楽しむのにいい日だと誰もが考えたのか、海水浴場は多くの客でごった返している。
その中に女子高生三人組がいた。
三人のうち二人はワンピースタイプの水着に身を包んでいるが、一人はビキニを着用し、しかも髪を金色に染めているからか、やたらと目立っている。
他の二人は髪を染めるようなことはしていない。一人は緑の黒髪を三つ編みにし、もう一人はおかっぱ頭である。
「ねえ、静香」
金髪ビキニの少女が、三つ編みの少女、静香に問いかけた。
「何よ、麻里」
「義哉クンとは最近どうなの?」
「別に、何も」
静香はそっけなく答えた。
「あのさあ~、静香、義哉クンとは、小さいころから一緒だったんでしょ? それなのにキスの一つもしないって、どうゆうことなの~?」
「だから、私と義哉はそういう関係じゃないってば!」
「おー、赤くなった、赤くなった」
静香を軽くからかう麻里。静香と麻里を興味深そうに見つめるおかっぱ頭の少女。
三人はくっちゃべったり、泳いだりして楽しい時間を過ごしていった。
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