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「どうしてもも何も、会長を助けたからじゃん。お人よしだなあ。」
「でも、人として助けないわけには……。」
「あんた、人じゃないじゃん。雪女じゃん。」
う。その通りだけども。
放課後、私は自分の部屋で、昨日からの顛末を猫田まおに説明しました。
まおと私はアパートでお隣さんです。今は訳あって私もまおも1人暮らしなのですが、料理やお掃除などでよく助けてもらっています。
「ダメだよ〜。そんな人前で能力使っちゃ。」
「で、でも、顔は隠してたし……。」
「実際バレちゃってんじゃん。」
うう。
「もっと慎重に行動しなきゃダメだよ〜。小雪は隠し事が昔から下手にゃんだから。」
「そりゃあ、下手ですよ……皆から女の子だと思われてる、まおと比べたら、誰だってね!」
そうです、まおがすごすぎるのです。
まおは、実は男子なのに女子用の制服を着ていて、しかもクラスメイトに隠し通しているんです。
今もはだけた制服からは意外と逞しい胸板がチラチラ見えています。ちょっと目のやり場に困ります。ちなみにLGBTQではなく、女装が趣味なだけなようです。
「だって、ボク、スカート似合っちゃうんだもん。大体、今時、男女で制服を分けること自体ナンセンスだし。」
ちなみに着替えはトイレでしているので問題はないそうです。そして先生たちは「多様性の時代だもんな……。」とあまり触れないでいてくれています。
「まあ、相手が悪かったにゃ。あの会長だし。」
「え、会長ってそんなにすごいんですか!?」
「そうだよ、知らなかったの!?」
まおの話によると、会長はものすごい秀才で、試験はいつも学年一位。全国模試も常にトップ50に入っている。すごいのは勉強だけじゃなく、スポーツ、音楽、何をやってもそつなくこなす。おまけに顔もスタイルも良いから、憧れの存在として学校中、いや地域中の注目の的だそうだ。
確かにあの推理力と洞察力はすごかったですね。
「小雪、噂には無頓着だと思ってたけど、そこまでだとは……。」
幼馴染のまおにまで引かれてしまった。ううう。
「とりあえず、これから先は気をつけて行動すること!ボクもずっと守ってあげられるわけじゃないしね。」
まおからしっかりと釘を刺されてしまいました。
「会長の前ではなるべく雪女の能力を使わないこと!アイスを冷やし直すのも控えてね!」
……はい。ごめんなさい。
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