0人が本棚に入れています
本棚に追加
1
何を差し置いてもまず寝たい!
会社創立以来最大のトラブルが発生、その原因を作ってしまった部署の長として俺は対応に追われている。
もう4日もまともに寝ていない。50近い体にとっては疲労も限界だ。
眠すぎて作業も凡ミスを連発、その修正のための余計な時間も食ってしまうという負のループ。
会社に残っているのが自分だけになった時は、あ行の文字に濁点がついたような乱暴な絶叫を繰り返した。
けどそれはストレスの利子分を解消しているようなもので、頭と体に巣食ってしまったストレスの元金が消えていく感覚は全くない。
とにもかくにも寝たいんだよ!!
そんな中、今夜はここ東京が記録的な大雪になるとの予報。
なので電車が止まらないうちにと、18時までに部下は全員帰らせた。俺ももう少ししたら帰る。
今日は早くあがれそうだと今朝妻に話したら、ふっかふかの布団を用意しておいてくれるとの事だった。
トラブルの解決にはまだ時間がかかるし明日も出勤という憂鬱はあるが、ふっかふかの布団でゆっくり寝られることを思い、今日は何とかこの苦境と対峙できた。
部下を帰らせてから1時間程で今日やっておきたかった作業を終わらせた。
スマホで確認すると電車はまだ動いている。しかし雪は予報通り降り出していたので急いで帰り支度を始めた時だった。
トラブルの件で社長から直接電話があり、どうしても今日中に済ませないといけない案件が追加されてしまった。
今夜の雪なんか目じゃないくらい俺のストレスは積もった。
社長はそもそも会社に来ずに家にいる。こちらが帰れなくなるかもしれない事など考慮もしないのだ。
しかし電車のように止まるわけには行かないのがサラリーマン。
ま行に濁音がついたような汚い絶叫をしてから社長の指示に対応した。
思った以上に手間取ってしまい、対応を終えたのは20時過ぎだった。凄まじい疲労感にバックハグされてるような気分だ。
外を見ると大雪になっているが、再度スマホで調べるとまだ多少の遅延程度で電車は動いているようだ。
とにかく寝たいのでいっそ会社で寝てしまおうかという考えが頭をよぎったが、その場合仮眠室などないので椅子を並べて寝ることになる。
家に帰ればふっかふかの布団だ。今ならまだ22時前に帰宅できるだろう。夕食をとって風呂に入ってすぐ寝れば8時間は寝られる。
俺は大急ぎで帰り支度をして会社を飛び出た。
最初のコメントを投稿しよう!