デッドワークス

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 ああ、分かっているとも。いくら理屈を並べたところで、納得できないものはできないとね。けれど、存在できるってことがそんなにいいことなのかな?  とても残酷で、救いのない世界に生きることになってしまうこと。とても平和で、喜びに溢れた世界に生きることになること。どちらも同じくらい、祝福されるべきことなのかな?  ここには、何も無い。存在しないモノしかないのだから、それはすなわち何も無いということ。喜びはない。そのかわり、絶望もない。  心はだんだん無機物に近付いていく。そう、無機物。いいじゃないか、私も一度はなってみたかったものだよ。ただ無為にそこにあるだけで許される存在に。  いや、ここの住人であるからには許されるといったこともないのかな。許しを願う相手もいない以上は。  そうかい、そんなに私が何者なのか気になるかい。きみも存外しつこい奴だ。まあ、少し話してあげよう。  なんとなくは、分かっているんだろう? きみが自然に、何かの摂理が働いて「いなくなった」わけじゃないって。人が生きること、人が死ぬこと。風が吹くこと、水が流れること。そういった原理とは全く異なる形で、きみが消えたわけじゃない。  そう。意図して、消したんだ。私が。  そんなことがどうして可能なのかって思うよね。ひょっとしたら、私のことは神なんじゃないかと、そう思ったかな? けれど、私はそんな大層なものではないんだよ。もしそんな存在だったら、私は間違えないし、ちゃんと全てを活かしてやれるはずだ。  けれど、私は間違えるんだ。たとえば、そう、きみ自身が、そうだろう。
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