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とにかく、きみは要らなかったんだ。私には、そしておそらく、皆にも。
ここで言う皆っていうのは、きみの仲間であるはずの人達とか、そういったものじゃない。私と同じ側の皆だ。中には、私と同じように、色々な存在を切り捨てて、作り上げて、「面白さ」を追究している者もいる。
ある意味では、美徳なんだ。彼らにとって、死にゆく者達に感情移入することはあっても、消していった者達にいちいち思い入れることはない。
まあ、納得しないだろうね。けれど、理解もしてきたようだ。文句を言ったところで、どうにもならないと。
だから、きみ。「存在しない自分」を受け入れたまえよ。結局は、普通に生きるのと何ら変わらない。死を待つ人生、いつかは全てを捨てる生と同じなのさ。
やっぱり、こういうことをやっていると、疲れるね。わざわざ話を聞いてやる辺り、本当は切り捨てきれていないのかもしれない。
これが妄想なのかどうなのかも、ハッキリしない。私の心も、相当やられてきているらしい。
それでも、思いを馳せたくなることがあるんだから、私って奴は本当に必要以上に人がいいよね。きみは考えたことが無かっただろう? 彼らの生活とか、そういったものを。
いや、そりゃあ大まかに考えてはいるだろうさ。でも私は、一日、一時間、一分、一秒、私達と同じように生きた時間を過ごす彼らのことも、どうしても考えてしまう。
共感しすぎてしまう、ということなのかな。だから、それがもし突然なかったことになったら? 自分がそうなったら? ふと、考えることがあるんだ。
だから、彼らの世界に時々閉じこもって、自分を納得させている。没設定の集まる世界で。
きみは、考えたことがあるかな。彼らのこと。
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