甘美な夜はチョコレート味

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「あー!」 ーーバレンタインの夜。 寝支度をして二階に上がってみたら、藤次がベッドで小説片手にチョコレートを頬張っていたので、絢音は声を上げる。 「ダメじゃない。こんな時間に、しかも歯磨きした後!体に毒よ!?」 「そやし、くれたんお前やん。こんなに美味そうなもん作って渡しておいてお預けは野暮やろ〜」 「またそんな屁理屈…」 ため息をつく絢音に、藤次は何を思ったか、一粒チョコレートを口に運ぶと、彼女を抱き寄せ唇を重ねる。 「んっ…」 口移しの要領でチョコレートを絢音の口内に差し込み、2人でそれを舐め合うように口づけを交わしていたら、気分が盛り上がってきたのか、藤次は彼女をベッドに引き寄せ押し倒して寝巻きに手を掛ける。 「藤次さん…」 潤んだ甘い眼差し、掠れた声… 裸身の身体に舌を這わせると、口内に残ったチョコレートの甘さが、彼女から発せられる芳しい香りと混じり合い、より藤次の興奮を煽る。 「…今夜は寝かさんで。覚悟決めるんやな。可愛い俺の、絢音…」 「…バカ。明日寝坊しても知らないからね…」 「寝坊上等。お前とこうして遅刻なら本望や。チョコ、おおきに。愛してる…」 「…ずるいわ。こんな時に愛してるなんて。もう好きにしてって言うしかないじゃない。…憎い人。」 赤く染まった頬をプウっと膨らまし毒づく絢音を抱きしめて、藤次は彼女の耳元で囁く。 「憎い人間に見せる顔やないで?ホンマ、可愛い…」 ーーそうして戯れ、体を重ねて、雪深くなってきた深夜までむつみ合い、2人で甘いチョコレートを食べながら、イチャイチャと甘い時間(バレンタイン)を過ごして、翌日藤次は遅刻。 部下の佐保子にお説教されたのでした♡ 何はともあれ、ハッピーバレンタイン♡
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