おなかが空にプカプカ浮いた

　おなかが空にプカプカ浮いた。
　どうりでおなかが空くわけだ。
　口からごはんをいくら食べてもポロポロこぼれる。
　おなかは空に浮いてるからね。
「えいッ！　えいッ！」
　空に向かっておにぎりを投げた。

「とぅッ！」「やーッ！」
　まわりを見ると、みんなも空へ向かって投げていた。
　トンカツ、からあげ、エビフライ。
「それッ！」「いけーッ！」
　こどももおやつを投げ上げた。
　ドーナツ、エクレア、シュークリーム。

　どんどん投げろ。おなかを満たせ。
　グルメなぼくらの運動会。
「おいおい、オレのおなかにサンマを入れるな！」
　ハンバーグの口だったオジさんが文句を言う。
「ちょっと、わたしのパスタにネギを入れないで！」
　お姉さんのおなかに誰かのラーメンのトッピングが飛びこんだ。
　ランチの時間は大混乱。

　ピューピュー！　ピューピュー！
　こどもたちは水鉄砲を打ち始めたぞ。
　ぶどうジュースに、みかんジュース。
　りんごジュースに、バナナジュース。
　いろとりどりのジュースが舞う空。
　七色の虹が出た。
（おわり）