雪だるまさんがくる

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『すごい。何となくそんな気がしたんだけど……こんなことってある?』  坂本が興奮気味に言う。 『うんでも間違いない。私も小三の頃作った雪だるまにユッキーって名付けたはず』 「待てまてそれって」  慌てて口を挟んだ。 「同じ時期に別々の場所で作られた雪だるまの名前が」 『偶然一致した。だけ?』 「そうだろ。大体ユッキーなんて名前、誰でも思いつきそうだし」 『本当に?』  坂本がすかさず訊いてくる。 『私達の思い出の雪だるまは同じものじゃない。って本当に言い切れる?』  前のめりな坂本に俺はたじろぐ。 「いやまぁそれは」 『では確かめるためのクイズです』 「くっ、くいず?」  番組の司会者さながらに、坂本は改まった口調になる。 『ユッキーが完成した時。ユッキーはあるものをプレゼントされました。それは何でしょう? チッチッチッ……』  秒針の音真似を始める坂本。戸惑いつつも答えた。 「オレンジ色のマフラー?」  少し間を置いてから、 『正解!』  坂本は言い放った。 『やるじゃん田中』 「マグレだよきっと」 『続いての問題です』 「まだ続くのか?」 『マフラーだけじゃ寂しい。そこでさらにユッキーはプレゼントされたものがあります。それは?』  俺は頭を掻いたあと、指を鳴らした。 「思い出した。赤い帽子と手袋!」 『またまた正解!』 「ちょっと待て!!」  自然と声が大きくなる。 「ひょっとしてこれ、何言っても当たりにならないか?」 『私が適当に話を合わせてるって言いたいの?』 「別にそういうわけじゃ……なら逆に俺が質問しても良いか?」 『良いわよ。絶対に外さないから』  自信満々の坂本に俺は質問する。 「ボタン代わりにユッキーに埋めた石の数。それは」 『十二個』 「早っ!」  坂本の回答速度にのけ反った。 「じゃぁ次の質問!  ユッキーの頭に差した飾りは?」 『結んだ松の葉』 「何で分かんだよ……これマジで二人が作った雪だるま一緒だった説か!?」 『だからそう言ってるでしょ』  坂本が不服そうに言った、直後。窓ガラスが音を立てて揺れる。 「風か……? なんか俺怖くなってきた」 『田中はビビリだね。私はむしろ嬉しいけど』  予想外の反応。俺は思わず訊き返す。 「嬉しい?  何でだよ」 『だって』  穏やかな声が返ってくる。 『昔から田中と一緒にいるみたいなんだもん』          
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