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「はい、いま行きます。ではまた会いましょうね」
大声で聞こえるように話し、続いて鈴木さんに満面の笑みで別れを告げた。
入れ替わり立ち代わり、何人ものお客さんの卓を回って、イベントは難なく終わった。
猫田さんが用意してくれた材料でちらし寿司を振舞い、それも一緒に食べて大層、喜んでもらえたようだ。
全員のお客さんが帰って、再び店内は静まり返っていた。大変だったけれど、いざ終わると感傷に浸りたくなる。
オリジナルノンアルコールドリンクが積み上がっていて、わたしは誇らしげな気持ちになった。
〈さっき、仕送りしといたからね。大学での勉強、がんばってね〉
わたしは更衣室に戻り、スマホに文字を打ち込んでいた。浴衣を気崩して、だらしない姿になっている。
「これでよしっと」
小さくつぶやくと、すぐにピコンと通知音が鳴って返信が来た。
《いつもありがとう》
《そんなの良かったのに
自分のバイト代で何とかなるから、姉ちゃんは無理しないで》
二人とも、わたしのことを想ってくれる良い弟たちである。そんな兄弟のために働けたのは、もはや最高の推し活だと思う。
〈お金のことを気にせず、大学生活を謳歌してほしいだけ〉
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