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「大丈夫ですよ、気にならないから」と母は言った。
本当はいつあの叔母さんの面倒を頼まれてしまうか分からずうんざりしているくせに、母は本音を飲み込んでにこにこしている。
その隣で私も精一杯笑顔を作りながら頷いていたけど、テーブルの下で膝上に置いてあった手は強く握りしめられていた。
「この間…」お婆ちゃんが話しの続きを始めた。「この間な、あの人の事“入院”させたの」
私と母は驚いて目を開いた。
「……入院って、由佳ちゃんの事?」
母が聞き返した由佳とは叔母さんの事だ。お婆ちゃんはゆっくり頷いた。
「1日だけな。…ものすごく叫んでた日あったべ?あの日もう誰ぁれも手ぇつけられなくて、警察呼ぶか救急車呼ぶかうんと迷ってっしゃ、んでもまさかずっとそのまんまにしどぐわげさ行かなくて、いつも行ってる病院さ電話したっけば先生さ 『連れて来い』って言われだがら、車に何とか乗せて病院に連れてったの。んだっけば、病院さ着いでも叫ぶし暴れるしで看護婦さん達さうんと迷惑かけてしまって…」
「それでどうしたんです?」
「うんで、先生さ『泊まって行くか?』って聞かれたっけば『うん!泊まりたい!お母さん私病院に泊まりたい!』って楽しそうに言って起き上がってさ。結局あの人、家さ居るのが嫌だっただけみたいだったんだ。でもほらあの人はああ言う人だから病院さ入院するって意味を1泊2日の旅行みたいに思ってるみたいで仕方ないから泊まらせたっちゃや」
お婆ちゃんは苦笑いした。
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