赤い鎖が消えたら

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しかし叔母さんが通ってる病院は一般の病院とは違って叔母さんのような精神疾患を抱えた障害者の方専門の病院なので部屋は個室で小さく、突然叫び出しても近所迷惑にならないように完全な防音仕様になっている。 おまけに変な事をされないように携帯電話などの電子機器は全て没収され、余計な情報が目や耳に入って混乱し出したりしないようにテレビなども付いていない。 だが病院を旅館やホテルだと勘違いしている叔母さんはますます好き勝手出来なくなった挙げ句話し相手すら居なくなった事で最初こそ楽しそうに折り紙などして遊んでいたものの真夜中の寝る時間帯になった途端突然「お家に帰りたいよーーーっ!!!」とわんわん泣き出したそうだ。 うちの叔母さんのような患者さんを毎日相手している先生がようやく取れたたった1日の貴重な正月休みを家族でのんびり自宅で過ごしていた先生の気持ちよりも常に自分優先の叔母さんはわざわざリモートで先生に電話を入れて「家に帰らせろ!!」と泣いて騒いだと言うのだから叔母さんはもう本当にどうしようもない。 やむおえず病院に戻って来た先生が「ならもう家に帰ってもお母さんに死ねだのクソババァだの叫んで困らせたりしないって約束しなさい。約束出来るなら家に帰してあげるから」と言うと叔母さんは「うん!約束する!」と頷いたらしい。 本当に大丈夫か信用ならないが今のところ静かなので先生のお叱りは相当叔母さんに効いたらしい。 「……と、言うわけだ。本当にごめんな」 お婆ちゃんらまた謝ってきた。「もう謝らないで下さいよ」と母は言った。
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