2人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、金子を持って沙紀の長屋へ出向く寺田に合わせ、タカムラも二十五両を閻魔堂で整え同行した。沙紀と母親が、僧衣の姿で会いに来た寺田から、近藤より受け取ったと言う二十五両を、返礼なしの香典として貰った。そこで、切腹も辞さない寺田の悔過の弁に、次第に絆されていた。その後、タカムラは比叡山延暦寺に向かうと言う寺田に、餞別として二十五両を持たしていた。
翌朝、閻魔堂に来た沙紀がタカムラに話した。
「大変お世話になりました。そやけどこれからは、うちが一人で頑張りますさかい、しばらくは消えといておくれやす」
タカムラは、何と気が強く、しっかりした娘だと思いながら微笑んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!