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2-4
12時半。
学食”薄味”にて、昼ご飯を食べている。相変わらずの空き具合だ。来年からは理学部へ入り、キャンパスを移る。ここが気に入っているが、新しいキャンパスからは徒歩で15分の距離で遠めだ。来られない距離ではないが。たぶんこれからは、向こうの学食に通うだろう。リサーチをしてある。しかし、味の方が分からない。夏樹は薄味派だから悩んでいる。
「大丈夫だよ。向こうの方は店が多いんだよ?ビュッフェスタイルの学食もあるし」
「味が濃いかもしれないのか~」
「来週食べに行こうよ。森本達も誘って」
「そうだね~。……あ、理久からラインが入ったよ。” 真羽君と学食で食べているよ。ソクラテス食堂。ビュッフェだよ”って」
そうなのか。ソクラテス食堂か。タイミングがいい。そこが候補の学食だ。
「聞いてみたら?味付け」
「うん。……返事がきたよ。”普通の濃さだと思う。うちの家も薄味だよ。信用していいよ!”……よかった~」
「ふむふむ。信用されないことがあるのか……」
(あの子が嘘をつくわけがないのに?)
同じ大学に通っている如月、藤沢の話を思い出した。学生同士に派閥ができて、足の引っ張り合いになっているそうだ。卒業生の早瀬にそれを話すと、在学中にはなかったと言って驚いていた。
(何があるんだろう?競争が出来ているってことだ。就活、成績……)
はあ。勝手にため息が出た。自分たちこそ競争の中に飛び込んだ。良いか悪いか、数字として跳ね返ってくる。分かっていても、今更のようにビクビクするときがある。
「だめだだめだだめだー」
チキン南蛮を頬張った。夏樹の方を向くと、黒崎さんとの、ラインやり取りを始めていた。ニヤけている姿を見ると、ネガティブになるのがアホらしくなった。
「夏樹が足りないだってさ~。ええ?いきなり見たいんだ~。どこを?ヒョーーーーッ」
夏樹が持っているオシボリで、バシバシとテーブルを叩き始めた。さらに料理の皿に当たった。そこで、慌てて皿を押さえて、落っこちるのを阻止した。
「なつきー、危ないよー」
「ウヘヘ、ごめんね。ひゃひゃひゃ」
「はいはい。仲が良いのはいいことだよ!」
「ふふん」
カボチャが付着したオシボリで、ニヤけた顔を隠していた。だから今度は夏樹の顔が黄色くなり、俺の方が悲鳴をあげてしまった。なんと緊張感のないことか。自分一人なら、デビューまでたどり着けなかったはずだ。
カボチャを拭いてやり、素敵なラインの内容に耳を傾けた。夏樹がこういう子だから、俺も乗り越えられているのだろう。そう強く実感した。
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