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3.出会い
「……こん、ばんは?」
颯真がおずおずと少女に声をかけると、少女は颯真の声にビクッと体を震わせた。そして自分の荷物をギュッと抱きしめ、怯えたように耳を伏せ、無言で颯真を見つめる。
「怖がらなくていいよ? えっと、きみはあやかしだね?」
「……」
「僕、泥棒だったらどうしようかと思ってたんだ。あはは」
「……」
「あ、あの、ここは人間の世界で『現世』、きみたちの世界は『幽世』って僕たちは呼んでいるんだけど、迷い込んじゃったのかな?」
「……」
何の反応もない少女に対して、颯真は頭を抱えながらも質問を続けた。
「ねえ、僕の言ってることわかる?」
颯真の言葉に、少女がこくりとうなずいた。
「あ! わ、わかる? じゃあ、どこからきたの?」
少女は、自分が入ってきた引き戸へ人差し指を向けた。
「そこから入ってきた、っていうことかな。神社の方からだね……じゃあ、きみは神社に縁のあるあやかし?」
「……私、は、神に、お仕えする、白狐一族の者、です」
少女は柔らかな澄んだ声で、途切れ途切れに颯真の質問に答えた。先ほどまで伏せていた少女の耳は立ち上がり、顔からは緊張の色が和らいでいた。
「そっか。ねえ、きみ。ここは寒いから、もっと中に入らない? お腹、すいてない? 何か飲む?」
颯真の問いに、少女のお腹が「ぐう」と鳴った。
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