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颯真は、台所のテーブルにココアの入ったマグカップと皿に乗せたクッキーを置いた。
「どうぞ。幽世にはない食べ物かもしれないけど、美味しいよ?」
警戒をして食べようとしない少女の様子に、颯真が先にクッキーを手に取り、サクサクと音をたてて食べて見せた。すると少女は颯真と同じ行動を繰り返し、クッキーを口に運んだ。クッキーの味が味覚に達した少女は、わずかに目を見開き、サクサクサクサクと瞬く間にクッキーを食べきった。
「美味しいでしょ。次はココア。熱いかもしれないからこうやって冷ますんだ」
颯真がふうふうとココアに息を吹きかけると、少女も息を吹きかける。
「そうそう。そうしたら、少しずつ飲んでみて?」
ココアに口をつける颯真を見て、少女も真似をする。
「……温かくて、甘くて美味しいです」
「うん。よかった」
穏やかな口調で話す少女の様子に安心した颯真が少女に微笑みかけると、少女も答えるように微笑んだ。
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