ジャスティンのモノはマリアのモノ

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ジャスティンのモノはマリアのモノ

 まだ四月でゴールデンウィークに入ったばかりだというのにヤケに暑い。  初夏の陽気だ。異常気象と言って良いだろう。半袖でも暑いくらいだ。  二階のボクの部屋もエアコンが必要だ。  スピーカーから静かにメロディアスな曲が流れてきた。『マリーゴールド』だろうか。  初夏を思わせるこんな日は、あいみょんの『マリーゴールド』がよく似合う。 「ンううゥ……」  ボクが眉をひそめ難しい顔をしていると。 「ねえェ、聞いてるの?」  マリアは唇を尖らせて半ギレのようだ。 「えェ、なんだよ?」 「絶対に秘密だよって言ったのよ。ちゃんと聞こえてる?」 「はァ聞いてるよ。なんだよ。中間テストで0点でも取ったのか?」  ボクは茶化すように笑ってみせた。 「違うって。言っておくけど正義(ジャスティン)よりもずっと頭が良いんだから」 「あのなァ、頭が良いかどうかは別にして。確かに狡猾(クレーバー)だけど」  悪知恵だけは、よく働く美少女だ。いつもボクは彼女のイタズラに泣かされている。 「マリアは、ずっと秘密にしていた事があるのよ」 「はァなんだよォ。また小遣いの前借りか。いくら貸してると思ってるんだよ」  ボクの小遣いの大半はマリアのために使っていた。どうせ催促したところで返って来ないだろう。諦めの境地だ。 「いいじゃん。どうせ彼女もいないんだし」  またマリアはふて腐れたように唇を尖らせた。 「なんだ。そりゃァ、関係ないだろ。彼女がいようといまいと」  なんて言い草なんだ。 「彼女が居ないから代わりにマリアがジャスティンのお小遣いを使って上げてるのよ。感謝しなさい」 「どんな感謝だよ。なんで借りる方が上から目線なんだよ」  ムチャクチャなヤツだ。 「心配しないでよ。正義(ジャスティン)のお小遣いはマリアがちゃんと使って上げるから」 「どんな理論だよ。なんでボクの小遣いをマリアが勝手に使うんだよ」 「気にしないでよ。マリアのモノはマリアのモノ。正義(ジャスティン)のモノもマリアのモノなんだから」 「ムチャクチャ言うなァ。ジャイアンか!」
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