きっかけは事故チュー

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そうなんだ…… それは知らなかった。 そういえば、切なそうな顔しなくなった なぁ…… それはもう吹っ切ったからだったんだ。 「じゃあ、今は好きな人とかいないの?」 「……ううん、いるよ。好きな人」 「へぇ、いつの間にできたんだ。今度は誰?私の知ってる人?」 「うん、よーく知ってる人だね」 「ふーん」 私のよく知ってる人か…… もしかして、クラスメートの誰かだったり……? 「好き、なんだけど」 「誰が?」 急に告白し始めた佐川君に少し困惑する。 誰が好きとか分からないんだけど…… 「浅野さんのことだよっ……」 まさかの私だなんて予想がつかないでしょ……? 必死さ溢れる告白だった。 顔真っ赤だし。 佐川君はもっと余裕のある告白をするんだと勝手に思ってたけど。 「ごめんけど、私そういう風に……」 「知ってる。付き合ってもらえるように、何度でも想いを告げるから。絶対俺のこと好きにさせる」 断ろうと思ったけど、そう宣言されちゃ断れないね。 「うん、頑張って」 そう言うと、ムッとした顔をした佐川君にキスをされた。 キャーと周りから悲鳴が上がる。 「好きだよ、好き」 「うんうん、分かってるよ」 それから宣言通り、何度も想いを告げられた。 ――私と佐川君が付き合うことになるのは数ヶ月後の話。 fin
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