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ようやく関係性を知ることができた。
でも、佐川君はもしかしたら……
「ふふっ、ありがとう!大切なんて嬉しいな!あぁっ、もうこんな時間!これから職員会議だから行かないと!またね、真澄君!」
「うん、いってらっしゃい」
慌てて走っていった神田先生。
足音が遠ざかったところで佐川君が呟く。
「早く仲直りしてよ、沙綾。俺につけ込む隙を作らないようにね」
気になって少し顔を出すと、佐川君は見たことないくらい切ない顔をしていた。
その顔と言葉で確信した。
佐川君は神田先生のことが好きなんだって。
こんなところで、人気者の秘密を知ることになるとは思わなかった。
「それにしても、そこにいるのは一体誰?」
思わずギクリとした。
どうやら、気づかれていたみたい。
「ごめん、佐川君。盗み聞きしちゃって」
出てすぐに謝った。
「浅野さんだったんだ。もしかして、最初から聞いてた?」
「うん、聞いてた。本当にごめん」
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