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「何で、脅さないといけないの。むしろ、私は佐川君にできれば関わりたくないのに」
「はっきり言うんだね」
本音が出てしまった。
佐川君には苦笑される。
「とりあえず、秘密にしとけばいいでしょ?大丈夫、誰にも言わないから。約束する」
そもそも、言う相手もいないけど。
「ありがとう。秘密にしてくれるのは助かるよ」
と、佐川君は安堵の笑みを浮かべている。
「じゃあ、私もう帰るから。佐川君、また……」
「ねぇ、浅野さん。俺と一緒に帰らない?」
明日と言う前に遮られた。
いや、一緒に帰りたくないんですけど……
「せっかくだし送るよ。駄目かな?」
「駄目ではないけど……」
「じゃあ、一緒に帰ろうよ」
「はぁ……分かった、いいよ」
意外に強引な佐川君に仕方なく折れる。
歩き出した佐川君に私はついていった。
「何気に初めてだよね。こうやって話すの」
「確かにね」
そう言った佐川君に素っ気なく返す。
私は佐川君とできれば関わりたくなかったわけだしね。
そりゃあ、そうなるだろう。
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