兄を消した償い

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事件を整理してみた。 被害者、植松順子(うえまつじゅんこ)は、夫である秀一(しゅういち)との二人暮らし。専業主婦。子はいない。 死亡推定時刻は7月7日、19時頃。 死因は刃物で刺されたことによる失血死。 第一発見者は夫、植松秀一。 秀一は順子の親が経営する音響メーカーの社員。 7月7日、21時に秀一が帰宅すると、応接室で腹部から大量出血して倒れている妻、順子を発見し通報。 被害者の着衣に乱れはなかった。 物色された跡はなかったが、ソファーの位置がずれており抵抗の跡と思われた。 凶器は現場で発見されたが、指紋は採取できなかった。 その刃物は、植松家の物ではないと秀一が証言している。 容疑者が特定された。 村井克彦(むらいかつひこ)。無職。 アマチュアバンドでボーカルをしている売れないミュージシャンだ。 順子に数か月前から付きまとっていたストーカーでもあった。 事件後、村井克彦は行方不明。
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