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「はぁ!?な、なにを、」
「美夏の言う通り、俺ってかなり独占欲が強いらしい。自分がここまで面倒くさい奴だとは思ってなかった。今更抑える気もないけど」
「……はい?」
そう聞き返した直後。
突然服の下に入ってきた大きな手に、驚いて体が揺れる。焦ってその手を掴みながら、顔が熱くなるのが分かった。
しかし両手で押さえても侑生の手は動くことをやめず、背中に潜り込んだ手が器用にホックを外す。
さすがに、冗談でしょ?と悠長に構えていられない状況だった。
「侑生!」
「ん?」
「ん?じゃなくて!」
正直、本気じゃないと思っていたのは、この前告白をされてから今日まで侑生がこんな風に手を出してくることがなかったから。
それなのに今どうしてスイッチが入ってしまったのかと考えて、すぐさま美夏さんの顔が浮かぶ。
確実に美夏さんが侑生を煽ったせいじゃねーか!
「やっ、やめ…っ、」
侑生の唇が首筋をなぞり、その手が弾くように胸の先に触れた途端、甘い痺れが走る。
突然の刺激に脳裏に浮かぶのはあの夜の出来事で、壊れそうなほどに走り出した鼓動は、これだけの至近距離にいたら侑生に聞こえて当然だった。
「すげぇ真っ赤」
「…っ、見るな!」
「そんな可愛い顔してたら止められないんだけど?」
耳元に唇を近付けて、わざとらしく甘い声を吹き込んでくる。
全身がガチガチに強張って、抵抗するのも忘れて、侑生の手が肌を弄る感触に吐息を零した。
「安心しろ。最後まではやらないから」
「ちがっ、そうじゃなくて、」
「なんだ。最後までして欲しいならそう言え」
「だから、――んぅ、」
塞がれた唇に言葉を奪われて、そのまま深まっていく。
どこまで強引な男なんだ、と思うのに。
なんだかんだいって、侑生の腕の中が落ちつく場所だと分かっているから、結局受け入れてしまうんだ。
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