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自分で思うに、真っ白は似合わない。全身鏡を眺めながら絶望的な気分を味わっていた。
それなのに。
「うぎゃあああ!レイの純白ううう!!!まって…尊い…まって…涙で滲んでレイが見えない…」
「鼻血垂れ流してこっちくんな」
鼻からは血を、目から涙を、垂れ流しているヤエは今日も今日とて気色悪い。
「レイが美しすぎて全身の毛穴からオスのフェロモンが分泌中です」
「汚い言い方やめて。それより私白似合わなくない?」
「それはレイの心が荒んでいるからそう見えるだけじゃないですか?」
「喧嘩売ってんの?」
常に変態な妄想をしているヤエにだけは絶対に言われたくない台詞だ。
侑生が用意してくれたのは、宣言通りの真っ白なロングドレス。ベアトップのAラインはシンプルながら、純白のシャンテリーレースが眩しい。
髪型はナチュラルなハーフアップスタイルにして、プレゼントしてもらったコサージュを飾った。
「なんか……いつも大胆なドレスしか着てないから、正統派が落ちつかない!」
「その発言はビッチみたいですよ」
「変じゃない?どこもおかしくない?」
「おかしいのは自分がおかしいと思っているあなたの腐った眼です」
「腐ってねーわ」
だめだ。ヤエに聞いても私のことが大好きすぎて一周回ってムカつくことしか言われない。
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