prologue

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その日は、無数の光が空に散らばって、今まで見たことがないような綺麗な星空が広がっていた。 お姉ちゃんと弟と一緒にその空を眺めて流れ星を探しながら、「願いごとはどうする?」と無邪気に笑い合った。 そして奇跡のようなタイミングで駆け抜けた流れ星に、私はひとつだけ願いごとを唱えた。 "どうか家族四人で穏やかに過ごすこの幸せが、いつまでも続きますように" 私の願いはただそれだけ。大切な家族と、いつまでも一緒にいられるだけで良かった。 それなのに、どうして――… さっきまで隣りで笑っていた彼女が、血を流しながら倒れているのだろう。 その惨状は言葉では言い表せない。 泣きじゃくるお母さんの目の前にはお姉ちゃんが横たわり、体の下には赤い液体が広がっている。衝撃的な光景に頭が真っ白になったものの、なんとか震える足を叱咤して救急車を手配した。 おずおずと手を伸ばして触れてみると、肌の冷たさに血の気が引いていく。次から次へと溢れだす夥しい量の血液が、彼女そのものを飲み込んでしまいそうだった。 必死にその手を掴みながら「お姉ちゃんっ!」と叫んだ。縋り付くように抱きついて、何度も、何度も。絶対に離したらダメだと、頭の中で誰かが私に訴えていた。 だって消えてしまう。大好きな人が、家族で過ごしたあの穏やかで幸せな時間が、少しずつ過去のものに変わっていってしまう。 それは遠く遠く、いずれ思い出すことも出来ないほどに遥か遠くに行ってしまうんじゃないだろうか――。 そんな恐怖と言い知れぬ寂しさが、心を覆い尽くしていた。
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