事件発生

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去年のオリンピックにも出場していて、今年の世界大会に出場する予定でいずれは日本を代表する選手なのだ、と教えてくれた友達が言っていたのを思い出す。 理絵自身がバスケットボールの事を瀬里奈と一緒に居る時に話さないので、そんなにすごい選手だとは気にした事がなかったのだ。確かに、時々合宿とかで講義に出ない事もあるのは憶えている。 去年、オリンピックの時期は夏休みだったので理絵が出場していたとは、瀬里奈は全く知らなかった。 「…仲良くしてるつもりだったのかぁ」 「何だよ」 「ううん、浮かれてヒドイコトしたなって」 本当の意味で、友達ではないのだろう、と実感してしまった。瀬里奈は、裕一の事があるから理絵と仲良しと思っていただけなのかもしれない。 「坂上に?」 「まぁ、うん」 「謝ればいいんじゃねーの?」 本城のカラリとした口調が、瀬里奈には響いた。 「そうかな?」 “謝ればいい”とは少々都合の良い言い分には思えたが、謝る必要があるのは瀬里奈自身もわかっている。 「そうだよ。怒らせるような悪いコトしたなら、謝ればいいだろ?」 「そりゃぁ、そうなんだけど」
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