どうしてモナリザは微笑んだのか

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「ほらまた! こんな説教受けてる変なタイミングで新しいキャラ探しなんかする!」 「すいません……」 「へこむなよ! そこはもう一回チャラ男キャラでかぶせてくるところでしょ!」  クニオ君は、『そうか!』という気づきと、情けなさと、もう一度チャラ男キャラで返事をしようか、という色んな表情が入り混じったなんとも複雑で情けない顔を見せた。 「あの~」 「なに? モナリザさん」 「小噺は?」  もうどうやっても小噺が受けそうにない空気になっていたが、クニオ君は芸人の意地なのか、どうにかモナリザに向かって直立した。 「では、小噺を……」  クニオ君はボソッと小噺のスタートを切った。そしてダビンチたちの反応を待った。 「小噺を……」 「拍手なんて待ったってダメだよ。前科がひどすぎるからね」 「あ、はい。では。この前、雨が降ってきたってんで、どのくらい降っているんだいって聞いたんだ。そしたら『おいしいチャーハン』ぐらいですって言われたんだ。それを聞いて僕はピンときたんだ。なるほど、『パラパラ』ふっているんだな、と」  アトリエからあらゆる音がなくなってしまった。 「あ、せーの……」 「『せーの』じゃないよ!」  ダビンチは怒りをこめて、吐けるだけの鼻息を思いっきり噴射した。 「君が決め台詞を言うのは勝手だが、『せーの』って私たちお客に『なんちゃって』を言わせようとするのはやめてくれるかな!」 「はい……」 「そりゃあ、私たちが君の小噺で楽しめていたら、ノリノリになって言うかもしれないけど!」 「はい……」 「『なんちゃって』なんて言う気分じゃないからね。むしろ言わないでやろうって気分になっているからね。君の小噺が私たちをそんな気分にさせているんだからね!」 「はい……」  グスングスン。ついにクニオ君は泣き出してしまった。
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