新人女優 取り違え殺人事件

17/20
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「私は榛名美織です。昨日の火事で燃えた部屋の住人です。ニュースでは、私が殺された、と言っていましたが、私は生きています。死体は別の人だと思います」 ただならぬ事態だと判断した受付の警察官は、奥の部屋に通してくれた。 やがて、刑事たちがやってきた。 先ほど、由香の部屋を訪れた刑事たちと同じ人物である。 「あなた、先ほど会いましたよね?」 「……はい」 「あなたは、坂川由香さんですよね?」 「違います。さっきは嘘をついてすみませんでした。怖くて、そして、混乱していて、つい……」 刑事は怪訝そうな顔をする。 「だとすれば、なぜ坂川由香さんの部屋にいたのですか?」 「自分でも覚えていないのですが、朝起きたら、いつの間にか由香の部屋にいました」 「それでは、由香さんは今どこにいるというのですか?」 「分かりません。ずっと待っているんですけど帰ってきません。携帯に連絡しようにも、なぜか連絡先が消されていて、私、由香の電話番号やメアドを覚えていなくて……」 刑事たちは呆れた顔をしていた。 私の話を信じていないようだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!