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「私は榛名美織です。昨日の火事で燃えた部屋の住人です。ニュースでは、私が殺された、と言っていましたが、私は生きています。死体は別の人だと思います」
ただならぬ事態だと判断した受付の警察官は、奥の部屋に通してくれた。
やがて、刑事たちがやってきた。
先ほど、由香の部屋を訪れた刑事たちと同じ人物である。
「あなた、先ほど会いましたよね?」
「……はい」
「あなたは、坂川由香さんですよね?」
「違います。さっきは嘘をついてすみませんでした。怖くて、そして、混乱していて、つい……」
刑事は怪訝そうな顔をする。
「だとすれば、なぜ坂川由香さんの部屋にいたのですか?」
「自分でも覚えていないのですが、朝起きたら、いつの間にか由香の部屋にいました」
「それでは、由香さんは今どこにいるというのですか?」
「分かりません。ずっと待っているんですけど帰ってきません。携帯に連絡しようにも、なぜか連絡先が消されていて、私、由香の電話番号やメアドを覚えていなくて……」
刑事たちは呆れた顔をしていた。
私の話を信じていないようだ。
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