新人女優 取り違え殺人事件

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かなり待たされた。 * * * * * やっと刑事たちが戻ってきた。 刑事は、何かの紙を私に見せながらこう言った。 「坂川由香。あなたを殺人及び放火の容疑で逮捕する」 「は?! 何言っているんですか? 指紋、調べたんでしょ?」 「ああ、調べたよ。凶器からあなたの指紋が出た。今から、あなたの部屋も調べさせてもらうよ」 連れていかれたのは、燃えた私の部屋ではなく、由香の部屋の方だった。 警察官が叫ぶ。 「血のついた衣服を発見しました!!」 「よし! 鑑識で調べさせろ!」 由香の部屋の浴室から、例の血の付いた衣服が発見され押収された。 由香の部屋のあちこちを鑑識が調べて指紋を採取している。 「この部屋、あなたの部屋ですよね」 「違います。由香の部屋です」 「だからさ、あなたが由香でしょ? 今、指紋を採取しているんだけど、この部屋、あなたの指紋ばかり出てくるよ?」 「……それは……以前にこの部屋で、由香と一緒に住んでいたことがあったから……」 「ほう、そうきたか……だったら、あなたの言うところの『由香』の指紋が出てこないのはなぜだ?」 「……知りません……きっと、由香が拭き取ったんじゃないですか?」 「部屋から自分の指紋だけをすべて消し、あなたの指紋だけ残す。そんな器用なこと、あなたが言うところの『由香』さんにできるんですか?」 「…………」 言われてみれば確かに、由香にそんな器用な真似ができるとは思えなかった。 私は警察署の取調室に戻された。 このままでは私は坂川由香になってしまい、殺人と放火の罪で刑務所に入れられてしまう…… 私は榛名美織としてテレビドラマに出るはずだったのに……
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