パパにあったらよろしくね

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 いつも言っているでしょう?  大きな声で言ってはいけないって、ちゃんと覚えてちょうだいね。  お願いだから約束して、はい指切りしましょう。おててを出して。  ニコニコしているお兄さんも、お姉さんも、嬉しいことがあるからだろうけれど、それはあなたが思うようなことじゃないの。  囲んでいるおじさんが、目の前にある、手を伸ばせば届くような幸せにも気づかないようしっかり囲んで、目の前を真っ暗にさせているの。  そうすれば、足元がおぼつかなくなってしまうから、あたふたして転んでしまったりするでしょう?怪我もするかもしれないわ。  痛い痛いってうめく顔を見たくて、うずうずしているのよ。  ほうら、そろそろ始まりそう。  きっと、まわりに威張りちらして、ずいぶんと困らせてきたんだわ。  だからといって、あなたみたいに素直な気持ちで、ごめんなさいって謝ることもできなかった。  いいえ、謝りたくなかったのよ。  突っぱねて、捻じ曲げて、意地になって、自分が正しいって言い張ったから、ああなってしまったのね。  ほら、見てごらんなさい。  何もないところで、ぐきっと足を挫いて転んでしまったわ。  周りにいる人たちはきっと、誰も助けないし、ニヤニヤしながら見下ろしているでしょう?  ママの言う通りだ、お友達じゃないんだね。  先生にもいるよ、知らない子に囲まれて、階段から転げ落ちちゃったんだ。  しばらく学校に来られなくて、でもみんな、お見舞いなんかしなかったんだよね。僕もあまり好きじゃなかったし。あの先生。  おじさん、きっとパパや先生と同じことしたんだろうね。  パパが出ていく前、ぜんぜんお顔が見えなかったもん。  お兄さんもお姉さんも、僕には優しかったけれど、パパには頭に噛み付いたり、ぶつぶつと話しかけたりしていて、だんだん増えていって、大きな黒いかたまりみたいになっちゃった。  先生もおんなじ。  
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