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――瞬間、自分の叫びで目を覚ます私。
私の視界いっぱいに広がっていたのは、見慣れた『私の部屋』の天井だった。
「ぇ……?私、は……?」
(確か、さっきまで学校にいて……お母さんが、目の前で自殺を……)
「そうだっ!お母さん!!」
私は跳ね起きると、そのまま何時の間にか寝かされていたベッドを飛び降り、夜の学校に向かおうとする。
すると――。
「まァ、そう慌てなさんなって」
背後から、悠長な響きを含んだ声が掛けられた。
聞き覚えのあるその声の主は――。
「消し屋さん……?!」
そう、あの消し屋の竜胆が、私の部屋の椅子に優雅に腰掛けていたのだ。
(そうだわ。そもそも、私は体を消し屋さんに消して貰った筈で……。あれ?でも、さっきと違って、私、宙に浮いてない……)
自分の――しっかりと地面についた両足と、目の前の消し屋の少女を見比べ、ひたすら目を白黒させる私。
一体、何が如何なっているのか――。
状況が全く、分からない。
と、そんな私の混乱っぷりを楽しんでいるかの様に、消し屋の少女は艶然と微笑んだ。
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