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ともあれ、その日の放課後。
竜胆の花束を購入し、早速龍王寺に向かった私。
果たしてその寺の庭には、大量の仏像が並んでいた。
「確か、紫色の剣を持った不動明王を探すんだったよね」
私は、自らの記憶を確かめる様にそう口にしながら、庭の探索を始める。
ちなみに、不動明王が一体どんな姿をしているかは、私は全く知らない。
だが――。
(取り敢えず、紫色の剣を持った仏像を探そう。紫色の剣を持った仏像なんてあまり聞いた事がないし。だから、紫色の剣を持ってる仏像が見つかれば、それが例の不動明王の筈)
そんな安直な考えで、仏像探しを始めた私。
と、仏像探しを始めてから30分後。
庭の端にある大きな池の畔で、漸く私はお目当ての仏像を探し当てる事が出来た。
(よし、これだ……!間違いない……!)
私は、期待に高まる鼓動を何とか落ち着かせながら、持って来た竜胆の花を仏像の足元にある台座に供える。
そうして――。
「消し屋さん、消したい物がありますから私の所に来て下さい」
と、唱えた。
返事の類は、一切聞こえては来なかった。
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