今、春が来て

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☆ 部屋に戻ってギターを鳴らしてみた。 ポロロン…… 一人になると、情熱が空回りするあの音が聞こえて来るから。 全ての音は必ずドレミファソラシドのどれかになる。考えてみれば不思議だよな。 国や地域で多少の違いはあっても、基本的に音階はこの七つ。 それを組み合わせ、人はメロディーを作る。 無限の組み合わせの中の一つに名前を付けて、命を吹き込む。 だから、作曲…… 世界で一つのメロディーを作る事は楽しいけど、簡単じゃない。 曲が出来たら、リズムやキーや使用する楽器、コーラスなど曲の全てを決定する編曲(アレンジ)が必要だ。歌が売れるかどうかを決定する、と言っても過言ではないかも。 一度聴いたら耳に残る様な、印象的なイントロや間奏等を作るのは実は作曲ではなく、編曲の仕事なんだ。 だから、編曲…… 曲を編み、仕上げる事は楽しいけど、簡単じゃない。 そうして出来上がった歌を演奏して人に聴いてもらう事も、もちろん楽しいけど簡単じゃない。 歌唱力、演奏技術はもちろん、見た目のかっこよさや可愛らしさ、ダンスやパフォーマンス、どうかすると使っている機材まで評価される場合もあるのだから。 ここまでは誰もが頷いてくれるだろう。 やった事がなくても想像出来るだろう。 良い曲を作るのは楽しいけど、簡単じゃないと。 それなのに。
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