41人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな大恩あるミュージシャンを本当に外していいのかな、とは思うけど……
雪村氏はにこやかに続ける。
鳥島さんはやたら笑顔でちょっと面白い。
「冬木さんの歌詞、拝見させてもらいました。
期待通りの良い歌詞でしたよ。
実は私も昔はギターを弾いて、仲間とバンドやったりしていてね。打ち込み全盛の今の時代にあえてギターをメインにされているウィンタムのお二人に、是非お願いしたいと思っていたんです。
作曲の秋葉さんも一緒に、これからオレクロのフォーク・ロック系の楽曲をプロデュースしてもらえませんか?」
二人で一緒に……!
秋葉と俺は同時にお互いの顔を見た。
信じられないという気持ちが、ジャンプしそうな脚を押さえている。
「スケジュールが合えば、他のジャンルを依頼するミュージシャン達と一緒にオレクロの合同ライブの開催等も企画している。事務所は違うが、ウィンタムにとっても、これが成功のきっかけになって欲しいと考えています。
お互いに儲けようじゃないですか、はは」
もちろん俺達は喜んでこの奇跡と契約を交わした。
ただ、不安はある。
俺は歌詞を量産出来るタイプじゃない。納期が遅れて迷惑をかけない様に頑張らないと。
そんな俺に別れ際、雪村氏は言ったんだ。
「冬木さん、あまり日程に余裕がない依頼もあるかと思いますが宜しく。
なあに、冬木さんなら適当にちゃちゃっと書いても大丈夫、間に合わない時はうちで書き足しますから」
最初のコメントを投稿しよう!