頑張れ!シロちゃん

2/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 おばあちゃんは僕が行くと「あら! 嬉しいわ!」と喜んでくれた。たまにしか会いに行かないから嬉しいみたい。  少しお話してから、一緒に朝ご飯を食べた。  そして食べ終わってから、おばあちゃんが変わったことをした。 「こうするのよ」  おばあちゃんはティッシュペーパーを1枚取って、丸いのを載せた。  それから丸いのに、おばあちゃんが名前をつけることにしたのさ。元々ちゃんとした名前があるみたいだけど、話の流れで、新しく名前をつけようってことになったんだ。 「シロちゃんにしましょう!」  おばあちゃんは1分くらい「うーん、うーん」と考えてからズバッと言った。 「そのまんまだね。でも、とっても良いと思うよ」  僕は笑った。 「あら、嬉しいわ。決定ね」  おばあちゃんも笑った。 「じゃあ、シロちゃんを今から口の中に消しちゃうわね」  おばあちゃんがニッコリと笑う。 「えー、かわいそう!」  僕はシロちゃんを掴もうとした。 「シロちゃんのお仕事を取っちゃダメ!」  もの凄い勢いで、おばあちゃんが怒る。怒られた僕は、しょんぼりする。 「さぁ、飲み込むわよ!」   おばあちゃんがキリッとした顔をして、シロちゃんを口の中に放り込む。そして、お水をゴクッ、ゴクッ、ゴクッと音を立てて飲んだ。 「シロちゃん。あなたを口の中に消した理由はね、血圧が高いのを抑えてもらいたいからなのよ。ごめんね」  おばあちゃんはお腹を触りながら言った。  なるほど!  粒のお薬は、ティッシュペーパーの上に出すようにすれば、テーブルの上をコロコロ転がって床に落っこちたりしないんだね! そして、シロちゃんは血圧のお薬だったんだ! あとで、きちんとシロちゃんの元々の名前を覚えようっと。  僕は、新しいことを知るって面白いなって思った。学校の勉強と関係なくても、勉強は勉強だ。優しいおばあちゃんが、勉強を好きになるきっかけを作ってくれたんだ。 「全部が勉強なの」  おばあちゃんが言った。けど、僕は、おばあちゃんの言っている意味がわからなかった。一生懸命勉強すれば、わかるようになるのかなぁ。  僕は、その日、家に帰ってからも、ずーっと、シロちゃん、ちゃんとお仕事しているかなぁって心配だった。  シロちゃん、頑張ってね!  僕も勉強を一生懸命頑張るからね!  僕は眠る前まで、ずーっとシロちゃんを応援していた。    (おわり)                
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!