653年後の未来を守るために

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 人生は選択の連続である。  その選択を後悔するか否かは分からない。いつ後悔するかも分からない。死ぬ直前かもしれないし、ほんの数分後かもしれない。  田中は10分前の自分の選択を後悔していた。改札を出た時そのまま家に帰るか、コンビニに寄ってから帰るかちょっと迷ってコンビニに寄ることにしたのだ。  コンビニ前の駐車場で2人組の男に絡まれた。長身で体格のいい黒いスーツにサングラスという、ちょっと関わりになりたくないヤバそうな男たちにだ。 「田中 徹さんですね。本人確認させていただきます。〇〇総合病院で20××年×月×日午後10時28分生まれ。本籍〇〇県〇〇~。現住所〇〇県〇〇市~。現在△△大学理工学部2年生。~~」  田中は慄いた。自分の個人情報を垂れ流しする人間がいる。逃げたくても逃げられない。迂闊に動いたら銃を撃ちそうな雰囲気がある。この2人組は日本とかアメリカとか国に関係なく銃を撃ちそうに見えた。 「~で間違いないですね」  田中は何も答えないがどんどん話を進めていく2人組。 「間違いないようでしたら、命を頂戴いたします」 「はあ? ちょっと待ってください。なんで僕が殺されなきゃいけないんですか⁉ あんたたち何なんですか」 「私たちは歴史管理局調整部の人間です。今から653年後に細菌兵器によって世界の人口の1/10が殺されます。それを遺伝子操作で作り出すのがあなたなのです」  田中は焦った。見た目だけではなく頭の中もヤバい人たちだと。何とか逃れようと必死で考える。 「人違い、人違いですって。僕は理工学部ですが情報システムを勉強してます。細菌とか遺伝子とか全然関係ないんです」  あれだけ個人情報を流されていて人違いも何もないが彼は必死だった。しかし、2人組は無情だった。
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