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 ちゅっ、と音を立てて碧の首筋にキスの跡を残した知温がそのまま碧を抱きしめる。碧はそれに頷いて、好きになってよ、と知温の耳元に、吐息交じりにささやいた。知温の背中が一瞬跳ねたので、波音から教わったささやきは効果があったようだ。 「今日は優しく抱こうと思ってたのにそんなに煽ったら優しくできないよ」  体を起こした知温が碧のエプロンを少しずらして胸を晒す。尖った乳首を急に摘ままれて、碧が、あ、と声を漏らした。これだけで感じているなんて、ちょっと恥ずかしくて赤くなる。 「碧、もっと声出して、いっぱい感じて。いっぱい気持ちよくするから」  知温が微笑み、両の乳首を指先で刺激する。前回が初めてだった碧は、知温に触れられているというだけで、感じてしまって、その快感を逃すように膝を擦り合わせた。 「ここ、エプロン持ち上げてる。可愛いな」  ぐい、と知温が腰を摺り付け、碧の中心を刺激する。碧は、や、と声を上げ、知温を見上げる。 「と、も、はるくんだって……勃ってる」  碧の中心を刺激する知温のそれも、随分と硬くなっていた。これまでの恋愛を考えると、遊び相手だとしても、自分で興奮してくれているのだと思えばやっぱり嬉しい。 「そりゃ、ずっと二回目がしたかったからね」  知温はエプロンの上から碧の中心に触れ、そのまま手で扱いた。布一枚隔てた刺激はもどかしいのに、擦れる度に新しい刺激になって碧は自分でも止められないまま、とろとろと蜜を零してエプロンを濡らしていた。知温がそれを見て嬉しそうに微笑む。 「もうとろっとろ……碧ってえっちな体してるね」  まだ二回目なのにこんなに感じて、と耳元でささやかれ、碧の目に涙が浮かぶ。自分じゃ何がよくて何がダメなのか分からない。この時も『お前は淫乱だ』と言われた気がして、知温の言葉に碧は少し傷ついていた。  「ホントに……前のが初めて、だった……」  碧の声の変化を感じたのだろう。体を少し起こした知温が碧の顔を見やる。ず、と洟をすする碧を見て、違うってば、と眉を下げて優しい顔を向けた。 「今の誉め言葉!」  知温が碧の頬を手のひらで包むように拭う。碧はそれに首を傾げた。 「そう言えば、碧が恥ずかしがってくれるかと思って……」  言葉攻めはまだ早かったかな、と碧の額にキスをすると、つまりね、と知温が言葉を繋ぐ。 「俺はえっちな碧が好きなんだよ」  だからそのままでいいの、と知温の手がエプロンの奥に触れる。直接中心に触れられて、碧の肌が再び熱を持った。知温はそんな碧を見て中心からその奥へと指を滑らせる。 「ん、そこ……」  抱かれる覚悟はしているけれど、まだ少し怖い。知温は、大丈夫、と笑って、碧の後孔へと指を入れた。 「前……俺、碧が初めてだって分からなくて、ちょっと辛い思いさせただろ? 今度はちゃんとゆっくりするから、安心して」  知温の濡れた指がゆっくりと入ってくる。初めは違和感しかなかったけれど、次第に感覚は麻痺して、碧の中を探る指がくれる緩い刺激がもどかしくなる。 「知、温くん……も、平気、だから……」  耐え切れず、知温を見上げて碧がねだると、知温の顔が一瞬驚きで固まり、次いで優しいものに変わった。 「うん、俺も限界」  自分からねだったのに、言葉にされるとやっぱり鼓動は早くなって指先は少し体温をなくす。やっぱり少し怖い。  知温が碧の体を優しく転がしてうつ伏せにした。腰を持ち上げると、入れるよ、と声をかけてからゆっくりと自身の熱を碧の中に埋め込む。それだけで碧の頭の中が白く霞んだ。  こんなにはっきりと知温を中で感じたことがなくて、肌が少し震えている。  そんな碧の背中に知温が抱きついた。 「碧、好きだよ」  優しい声と、湿った肌、それに高い体温に包まれ、碧の緊張が少し解ける。 「うん……おれも」  嘘の言葉に嘘を返す。  けれど優しく自分を抱くこの体温も心地よさも、少しの痛みも嘘ではなくて、今は碧だけが受け取っているのだと思うと、なんだかとても切なかった。
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