三章 11

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「ありがとう御座います、バージル様。でも、勉強不足なのは自分でも痛感しております。なので私はもっと、この国の事を勉強したいと思っております」 そう言うとバージル様は私を引っ張って抱きしめた。  「何と、そなたは得難き妃なのであろう!」 ギュッと私を抱きしめてバージル様は言った。 「バージル様……」 大きな温かい体に包まれて私は、ホッと体の緊張を解いた。  アデルバート様とヒュームさんで、一緒にお仕事をする日は特に緊張をしてしまう。少しの間違いにヒュームさんは厳しい。 バージル様がいるときは、庇ってもらえるのできつい言葉も耐えられる。  しばらくバージル様と抱き合っていた。 「今宵は抱かない日だったが……。我慢しよう」 旅に出るので、体を休める為に出発前の二日間は夜伽は無しになったと教えてくれた。 「ふふっ。ありがとう御座います」 バージル様がちょっと可愛かったので笑ってしまった。  「なぜ、笑う?」 体を少し離して不思議そうに私を見た。 「ナイショ、です」 可愛かったので。なんて言えない。 「話せ」 「ダメです」 クスクスと笑う。  「私達の間に、ないしょは無しだ」
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