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「飛竜で飛んで、三日ほどでランバルト国へ行きます」
知らなかったのですか? と続けて冷たく言われた。
「飛竜……ですか?」
まるっきり知らなかった。
飛ぶ、竜? 移動手段として竜を?
「我がドラゴラン国は『竜の国』です。近隣諸国であれば周知されてますけど、ランバルト国には届いて無かったようですね」
クスリ……、と笑われた。
「貴方は我がドラゴラン国の偉大なる王の妃となる者。もっと、勉強なさって下さい」
ヒュームさんは私を睨みながら言った。
確かに私は勉強不足だ。大陸の端の国の出身で情報が入りにくいとはいえ、ドラゴラン国に身を置く限りもっと勉強をしなくてはならない。
「申し訳ございません。精進いたします」
顔を下に向けてヒュームさんに伝えた。
「そうして下さい。貴方の振る舞いで王の評判を落とすことのないよう、気をつけること!」
「……はい」
小さな声で返事をするのが精一杯だった。
あの後、お仕事をミスなく終えて落ち込みながら自分の部屋へ戻っていった。
「テオドール」
声をかけられて顔を上げると、バージル様が部屋の前で立っていた。
「バージル、様」
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