247人が本棚に入れています
本棚に追加
小走りで私は近づいた。
「ヒュームが、そなたにきつく進言したと言っていたのが気になってな」
私は嬉しくなって、バージル様を部屋の中へ招き入れた。
「バージル様。今日はテオドール様をお召になるとは聞いてませんでしたが……」
部屋の中でラント君が、ベッドを整えてくれていた最中だった。
「すまん、ラント。今宵はこちらに泊まる」
騎士服のバージル様は、ラント君にすまなそうに話した。
「ではご用意いたしますね」
にっこりと笑って、ベッド近くのサイドテーブルに果実水の入った水差し等その他を用意して、部屋から下がって行った。
「迷惑だったか?」
バージル様が私を気遣ってくれている。
「いいえ。嬉しいです」
バージル様に微笑みかけた。
二人でベッドの端に座り、話をした。
「ヒュームは、王の忠実な臣下だ」
「はい」
私は分かっている。小国の王子という己の立場も。
「だが、時に。やり過ぎる」
バージル様は苦々しい顔をし、私を見る。
「テオドールを下に見るのは許さない。ヒュームにまた何か言われたなら、次は俺に言え」
バージル様は、私を大事にして下さるのが分かって嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!