三章 11

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 少しむくれたように私の両の手を恋人繋ぎをして、顔を近づけて話を聞こうとする。  「わっ!」 バージル様は私を持ち上げて、脚の上に座らせた。  ベッドの端に座っているバージル様の脚の上。 バージル様に支えてもらわないと、床に背中から落ちそうだ。 「テオドール」 わざと腰を支えている手を緩めたりした。グラグラと私の体がのけぞり、倒れそうになる。 「ひゃっ……!」  「おっと、危ないな」 ニヤニヤと笑ってバージル様は私の腰を引き寄せた。 のけぞった首にバージル様は唇で触れて、吸った。 「あ!」 チクリとしたそこにはきっと、キスマークがついただろう。 「しばらく会えなくなるから、しるしを」  今日は抱かれない日。なのにバージル様は意地悪だ。 「そうむくれるな、テオドール」 はははは! バージル様が声をあげて笑う。  バタン!!  その時にノックも無しに私の部屋の扉が乱暴に開けられた。 ラント君が焦ったように後ろにいるのが見えた。  「今日はテオドールを抱かない日……だった筈だが?」  「アデルバート……さ、ま」  燃えるような目をしたアデルバート様が、部屋の中に入ってきた。  
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