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それに比べて私は母に似たのか、薄い色の金髪に体型は筋肉はついているものの体は細くて弟達がうらやましい。生まれつき目が弱く、分厚い眼鏡をしている。伸ばしっぱなしの前髪にイケてない眼鏡なので、皆には親しみを込められて『庶民的なテオドール兄様』と呼ばれている。
汚れても良いような作業着を着た父は、この国の王には見えないだろう。
テオドールと呼ばれた自分も、似たような格好をしているので、同じくこの国の王子には見えない。でも別に構わない。綺麗な格好をして遊んでいるよりも、全国民に食べ物が行き渡るように作業したい。
王も王子も畑作業をしているこの国は、はっきり言って【貧乏】だ。自給自足で賄っているとはいえ、贅沢はできない。何か特産物があれば良いが、まだ無い。
「何かないものか……」
私はフームと、下がった眼鏡を上にあげた。
「テオ! 大変だ」
ある日、そのランバルト国の王の政務室に一通の手紙が届いた。
「何事ですか?」
「と、とにかく読んでみろ」
父王から渡された手紙を開けて読んで見る。
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