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これで、忘れられるだろうか。エーミールのクジャクヤママユを盗み、潰してしまったこと。大好きだった蝶集めの思い出を、自分自身で汚してしまったこと。エーミールに言われて、僕は悪漢だと決まってしまった。僕は、明日からどうなるのだろうか。
僕は、次の日もその次の日も、ずっと家から出なかった。エーミール達と会いたくなかったのだ。きっと僕は、エーミールに悪漢だと言われているに違いない。家から出ても、きっといじめられる。いじめられるくらいなら、家から出ない方がいい。そう思っていた。
だが、母にそろそろ家を出なさいと言われてしまった。外に出て、エーミールたちと会わなければならないのだ。僕はとても怖かった。自分が悪いことをしたことはわかっているけど、どうしても、怖かったのだ。外に出ると、エーミールたちが集まっていた。逃げようとすると、そのうちの1人に引き止められてしまった。
「聞いたよ、クジャクヤママユを潰してしまったんだって?」
「ごめ、な、さい、、、」
「大丈夫だよ、君がクジャクヤママユを潰してしまったことに変わりはないけれど、誰も怒っていない。クジャクヤママユは珍しいから、欲しくなる気持ちもわかるよ」
「え…」
予想外の返答が返ってきた。
「許して、くれるのか?」
「ああ、僕も昨日は言いすぎた。ごめん」
「ありがとうっ…!」
このことがあってから、僕はエーミールと仲良くなった。
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