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その目に嘘はないと思った。
気がつくと、私は床に座っている修斗を黙って抱きしめていた。
そして、
「もう、どこにも行かない?」
「行かない!」
「私だけ?」
「うん、茉子だけ! 茉子しか嫌だ!」と強く抱きしめられた。
やっぱり涙が溢れた。
「ぐすん」と言うと、
「あ、ごめん、また泣かせた。瑞希ちゃんに泣かせんじゃない! って言われたのに……」
「ふふ、そうだよ、1回殴られれば良いのよ」と笑った。
「本当にごめんな」と修斗は、又謝った。
「良くないけど……全然良くないけど……もう良いよ」と言って、自分からキスをした。
──え? と修斗は、驚いた顔をしている
「キスの上書き」と笑いながら言うと、
「ごめん」と言うから、
「やっぱキスしたんだ!」と言うと、
「ホントに覚えてないから……ごめん」と頑なに言う。
仕方がないから、何度も上書きをすることにした。
──私の修斗に手を出さないで!
と思いながら、何度も何度も……
唇を重ねる。
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