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「ぷはっ!」
ガチャンと鍵の掛かる音がしたと同時に被っていたフードを脱いだ。
視界に入って来たのは二つずつ備え付けられたベッドと机と椅子。出窓からはさっきまでいた畑が見えたけど、ミーミルさんがカーテンを勢いよく閉めた。
「そ、外に騎士達がいる……きっと鳩子様を探してるだ……直にここも見つかっちまうかも……」
ミーミルさんは不安そうな顔をしながらカーテンの隙間を覗く。
「…………僕たちの部屋に鳩子様がいるってバレたら怒られるかな?」
「怒られるどころか下手すりゃ追放だよ!」
「…………無職?」
「ワンチャン俺も光の騎士団に入れるかもって思ってた所だったのによおぉぉぉ」
ミーミルさんは頭を抱えながらその場にしゃがみ込んだ。落胆する親友の頭をセルジュさんが撫でる。いつもと逆だ。珍しい光景だ。
「そ、そんな大げさな……! むしろ私は外に出たかったんだから助かりました! 私から事情を話せばわかってくれます!」
「いいえ……ヘーニル様がお許しになりません……故意ではないにせよ王の命令に背いてしまったのですから……」
唇を震わせながら青ざめた表情でナノンさんは言った。
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