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風呂から出ると、父は俺の部屋までついてきて、ベッドに横になった。俺も父の横に寝そべる。
「おやすみレイくん。いい夢が見られるといいね」
「はいはい、おやすみ」
俺の額にキスをする父に適当に返事をする。俺の頭を撫でる父を止める気力はもうなく、うとうとし始めてからすぐに眠りについた。
こんな時、安心して眠れるのはやはり父親だからだろうか。
俺の知るゲームでのレイドルフの父というのは息子になど興味がなく、魔族が恐れ慄くほどに殺戮を好む男だった。いや、後者は今も変わらないが。ゲームではレイドルフの過去回想のみに登場し、レイドルフは父を退け魔王になっている。
俺は父を倒すつもりなどない。と言うかまず、勝てるかどうかわからない。それに父の力は強大な抑止力になるだろう。退けるなんて勿体無い。先ほども言ったが、俺は父のことは嫌いではないし、退ける理由がないのだ。
物語に変化が起きている。もはやゲームなど関係ないのだろう。この世界は現実で、すべての命が実在するものなのだ。
こうして魔界での一日が終了した。
ヴィクターがこの世に誕生するまであと数十年。人間達と国交を確立する。それが俺の目的だ。
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