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ダリは主人から命じられた通り、走り去るルディナを追いかけた。
「ルディナ様、お見送りいたします」
「あら、ダリス……ごめんなさい。大声で騒いでしまって」
ダリに気がついたルディナは足を止めて、謝罪する。
「ああ、こんなんじゃレイドルフ様に嫌われても仕方がないわね」
「殿下はルディナ様が嫌いというわけではないと思いますが……」
「そうかしら?」
「ええ、まぁかと言って好きというわけでもないと思います」
ダリは笑顔でそう言うと、ルディナはさらに落ち込んだ。
「ねぇ、ダリス、レイドルフ様に好きな方がいるって本当なのかしら」
ルディナをエントランスまで送るため、二人で歩き始めるとルディナはダリにそう質問をする。
「そうですね……アレは本当だと思いますよ」
「そ、そうなの?やっぱりずっと仕えてる貴方にはわかってしまうの?」
「私、昔から勘はいいのです」
ダリは嘘を見抜くスキルを持っており、それはレイドルフしか知らない事だった。
「しかし、不思議ですね。私も長年殿下に仕えておりますが、それらしい人物に心当たりがないのです」
「そうなの?ダリスでもわからないなんて、ずっと昔に会った初恋の方とかかしら?ねぇ、ダリス、レイドルフ様の好みのタイプってわかる?」
「そうですね……強いて言うなら理知的な方とかでしょうか」
レイドルフが男性を好きな事はダリも承知しているが、主人がそれをルディナに伝えなかったため言わないでおく。
「理知的……それならクールで大人っぽい方がいいのかしら。勉学は自信があるから問題ないと思うのだけど」
「では、本日からクールビューティーを目指してみては?」
だんだん面白くなってきたダリは、適当な提案をした。
「そうね!ダリスありがとう!」
「いえいえ」
「それじゃあ、お父様が待ってると思うからここで失礼するわ!」
「はい、道中お気をつけて」
ルディナに一礼し、そのまま彼女を見送った。
(やはり殿下に仕えていると退屈しなくていい)
ダリはそう思いながら主人の元へ戻ったのだった。
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