14・宰相の妻(一応)はデート準備中①

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 アルバート様とエマ様は、私の容姿よりも出自や能力に関する攻撃が多く、やれ「お飾り聖女」だの「役立たず」だの「下賎な血筋が」だのばかり言ってきた。  それらの聖女になってからの環境は、ある意味特殊だった。  孤児だった幼い頃、黒髪黒目だからと石を投げられたこともあるし、私の見た目を怖がって遊んでくれる友達なんていなかった。  この屋敷の人たちは、私の髪や目の色を怖がったりしないでくれるのでありがたい。のだが……。    今日のメイドさんたちはいつもよりも超ご機嫌で、なんなら鼻歌のようなものまで聞こえる……。逆に怖い。   「あの、みなさん今日はどうかしたんですか? なにかあったんですか?」  私は意を決して聞いてみると、待ってましたとばかりとすぐに返答が返ってきた。 「何って! 奥方様とデートですよ! デート!」   「あの女っ気のないリシャルト坊っちゃまが! 奇跡!」   「王子様系イケメンだけど腹黒そう、ってご令嬢方にこっそり噂されている坊っちゃまにようやく春が……!!」  メイドさんたちはテンション高く、口々に言う。
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