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「なるほど、そんなことが……。それは大変でしたね」
ハーバーさんに今日の出来事を話すと、酷く同情したような視線を私たちに向けた。
確かにとても大変な1日だった。
「そうですね……」
私はベッド横に置かれた木製の椅子に腰掛けた。
ハーバーさんの言葉に同意しながら、再びベッドに横たわるリシャルト様の治癒を再開する。
「リシャルト様、私を庇ってくれて……。リシャルト様を守れなくて、ごめんなさい」
私はハーバーさんに向かって謝罪の言葉を口にした。
ハーバーさんにとって、リシャルト様はずっと仕えてきた大切な主人のはずだ。
「そんな……。奥方様、謝らないでください。リシャルト様は、あなたを守れて本望だと思いますよ」
確かにリシャルト様は「必ず僕が守ります」と何度も言ってくれていた。
本当に守ってくれた。
だけど、その代わりにリシャルト様を失いたくなんてないのだ。
――今度は、私がリシャルト様を助けなきゃ。
私は決意を込めて、ハーバーさんを見た。
「ハーバーさん。私が、必ずリシャルト様を治癒します」
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